大阪住吉の地で「あびこさん」の愛称で親しまれる吾彦山大聖観音寺(あびこ山観音寺)は、推古天皇14年(606年)に聖徳太子が創建した寺院と伝えられています。寺伝によると、この地に住んでいた豪族の我孫子氏が観音菩薩を勧請したことに始まり、太子自らが百済の僧と共に伽藍を整えたのが起源とされています。
この寺院が「日本最古の厄除け霊場」と称される背景には、数々の歴史的危機を救ってきた強烈な伝承が存在します。なかでも慶長20年(1615年)の大坂夏の陣において、真田幸村の猛追を受けた徳川家康公が本堂奥に身を潜めて命拾いしたという逸話は有名です。家康公は難を逃れた後、広大な寺領と手厚い保護を与え、以降「災難除け・身代わりの観音様」としての名声は不動のものとなりました。
本尊は身の丈一寸八分(約5.5cm)の秘仏「聖観世音菩薩」であり、普段はその姿を直接拝むことはできません。しかし、人々の苦しみや災厄の身代わりとなって救済の手を差し伸べるその霊験は、1400年の時を超えて今なお多くの参拝者の心の拠り所となっています。