現在の講書始の儀は、学術研究(人文科学・社会科学・自然科学の3領域から各1名の碩学が選ばれる明確な枠組みを持っている。この三分野の構成は1953年の制度改定以来堅持されているが、その意味合いは時代とともに深化してきた。
文系・理系という二項対立を超え、人間とその社会、そして自然界の摂理を包括的に俯瞰する。この構造こそが、皇室が学術全体を偏りなく見守る姿勢の表れである。人文科学が過去を見つめ、社会科学が現在を整え、自然科学が未来を拓く。3つの講述がひとつの儀式のなかで連続して語られることで、日本の知のパノラマが一幅の絵巻物のように現出するのだ。