一方で、ペットとしてのワカケホンセイインコは、数あるインコ類の中でも際立った知性と独自の魅力を持った鳥として古くから愛され続けています。
ワカケホンセイインコの性格とおしゃべり能力は、鳥類飼育者の間でも高く評価されています。オス成鳥は首回りに黒とピンクの美しい輪(リング)模様が明瞭に現れるのが特徴で、その容姿の気品もさることながら、人の言葉や口笛、環境音を非常にクリアに模倣します。高音域の金属的な声質を活かした発音は極めて明瞭で、単語だけでなく長いフレーズを抑揚まで正確に覚えて会話を楽しむ個体も少なくありません。
しかし、その性格はセキセイインコやオカメインコのような「常に飼い主にベタベタ甘えたい」タイプとは大きく異なります。自立心が強く、猫のようにマイペースでプライドが高い傾向があります。気分が乗らないときに無理に撫でようとすれば、鋭利な嘴で容赦なく拒絶されます。この「ツンデレ」とも称される独特の距離感こそが愛好家を惹きつける理由ですが、安易なスキンシップを期待して飼い始めた初心者を挫折させる要因にもなっています。
特に配慮すべきはワカケホンセイインコの噛む力と危険性です。前述の通り、本種の嘴は硬質なナッツや木の枝をせん断するために進化しており、本気で噛まれた場合、人間の皮膚を貫通して皮下組織をえぐり、出血を伴う深い創傷をもたらします。特にお子様のいる家庭では、ケージの隙間から不用意に指を差し込ませない厳重な管理が求められます。
【プロの結論】飼育に向いている人・慎重になるべき人の判断基準
ペットショップでのワカケホンセイインコの値段相場はノーマル個体で3万〜5万円前後と、中型オウム類と比較して決して手が届かない価格ではありません。しかし、安易な衝動買いは飼育破綻の元凶となります。30年という歳月を共にする覚悟があるか、客観的な適性を確認してください。
【飼育をおすすめできる人】
- 完全防音に近い飼育環境を用意できる人:専用の防音アクリルケージを設置できる、または近隣と十分な距離がある一戸建てに住んでいること。
- 30年先までのライフステージを見通せる人:本種の寿命は30年に達します。自身の健康寿命や高齢化、転居、家族構成の変化を現実的に考慮し、終生飼養のバックアッププランがあること。
- 適度な距離感を尊重できる人:過度なベタ慣れを強要せず、インコ特有の知能の高さや自立心を尊重してじっくり信頼関係を築ける人。
【飼育を慎重に見送るべき人】
- 一般的な賃貸アパート・集合住宅に住んでいる人:本気の発声は隣戸や上下階へ確実に響き渡り、退去通告や民事トラブルに直結します。
- 「手乗りで甘えてほしい」という願望が強い人:発情期や換羽期の気性の荒さ(いわゆる反抗期)を受け止めきれず、飼育に苦痛を感じるリスク大。
- 高齢で後継者がいない単身者:飼い主が先に倒れた際、中型インコを引き受けてくれる里親や保護シェルターは極めて限られています。