チェルノブイリ「象の足」の正体|致死の放射線量と2026年現在の姿

チェルノブイリ「象の足」の正体|致死の放射線量と2026年現在の姿

チェルノブイリ「象の足」の正体|致死の放射線量と2026年現在の姿にまつわる興味深い視点を詳しく紐解きます。

「象の足」が発見されたのは、爆発事故からおよそ8か月が経過した1986年12月のことでした。原発事故処理に投入されたソ連の調査チームが、破壊された4号炉の真下にある蒸気配管室(地下回廊217/2号室)を遠隔カメラで探索していた際、黒光りする巨大な塊を捉えたのです。幾重にも重なった皺のような外観が動物の脚に酷似していたことから、その名が付けられました。

この物体の正体は、原子力工学で「コリウム(Corium)」と呼ばれるメルトダウン デブリ(溶融核燃料生成物)です。爆発時、炉心温度は2,000℃以上に達し、ウラン燃料ペレットだけでなく、燃料被覆管のジルコニウム、炉心の制御棒、周囲を覆っていたコンクリートや砂、ホウ素までもが超高温でドロドロに融解しました。液状化した高熱のマグマは鋼鉄の圧力容器を突き破り、配管を伝って地下フロアへと流れ落ち、冷え固まってガラス状の凝固物となったのです。

推定重量はおよそ2トン、幅は2メートル以上に及びます。極めて硬質な組成を持ち、当初はサンプル採取のためにドリルを当てても刃が立たず、最終的に特殊部隊の狙撃銃で表面を撃ち抜いて破片を回収したという逸話が残るほど、物理的にも強固な物質として形成されました。

中島 亮太
著者

中島 亮太

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。