ボーカリストにとって最大の敵は加齢による筋肉の衰えと声帯の乾燥だ。多くの歌手がキーの変更や歌唱スタイルの変化を余儀なくされるなか、山下達郎の声はどうして澄んだ輝きを失わないのか。秘訣は、何十年も崩されていないストイックな生活習慣にある。
睡眠時間の厳格な確保、乾燥を徹底的に避ける湿度管理、そして何よりも日常会話レベルからの発声コントロール。日々のルーティンを軍隊のように守り抜くことで喉のコンディションを保ち続ける。さらに、彼自身の身体構造に合わせた無理のない共鳴発声法を長年の経験から確立しており、過度な筋力に頼らず息の圧力だけでホール最後列まで音を届ける技術を身につけているのだ。