物語の発端は、ある夜に空き巣を働いた敦也・翔太・幸平の幼馴染3人組が、身を隠すために廃屋となった「ナミヤ雑貨店」へと逃げ込む場面から始まります。誰もいないはずの店内のシャッターの郵便受けに、突如として投函された一通の手紙。それは32年前の過去から届いた、オリンピックを目指す女性フェンシング選手(月のウサギ)からの深刻な悩み相談でした。
戸惑いながらも返事を書く3人。彼らが店内にいる間だけ、郵便受けは「過去」と、裏口の牛乳箱は「現在」と繋がる不思議なタイムスリップ現象が起きていました。3人の青年と、かつて真摯に人々の悩みに答え続けた店主・浪矢雄治の人生が、手紙という媒体を介して交錯し始めます。
手紙の送り主は、ミュージシャンを夢見る魚屋の息子(魚屋のミュージシャン)や、経済的に困窮し愛人稼業に手を染めそうになる女性(迷える子犬)など多岐にわたります。登場人物たちの関係性を整理すると、すべての相談者が実はある一つの「特別な場所」と深く繋がっていることが徐々に浮き彫りになっていきます。