盆踊りの起源を紐解くと、平安時代に広まった空也上人の念仏踊りや、鎌倉時代に一遍上人が普及させた「踊り念仏」に行き着きます。本来は盂蘭盆会(お盆)の時期に、現世へ帰ってきた先祖の霊をもてなし、再びあの世へと送り出すための宗教的な鎮魂儀礼でした。
しかし室町時代から江戸時代へと移り変わるにつれ、盆踊りは次第に娯楽性や大衆性を帯びていきます。とりわけ江戸時代には、農民や町人にとって年に一度の無礼講ともいえる大イベントへと発展し、夜通し踊り明かす狂乱の様相を呈しました。
これに対し、幕府や各藩は治安維持の観点から警戒を強めます。身分秩序の崩壊や一揆の謀議の温床になるリスクを恐れた支配層は、度々「町触れ」を出して集会や夜間の踊りを制限しました。江戸時代の盆踊り規制は、民衆の爆発的なエネルギーをコントロールするための政治的防壁だった側面を持ちます。