料亭や割烹の予約時によく耳にする「カイセキ」という言葉ですが、漢字の表記によってそのルーツと食事の趣旨は全く異なります。日常のビジネス会食や冠婚葬祭で恥をかかないためにも、まず両者の根本的な差異を正確に理解しておく必要があります。
「懐石料理(茶懐石)」は、茶道において濃茶をいただく前に出される食事を指します。禅宗の僧侶が寒さや空腹をしのぐために温めた石を懐に入れた故事に由来し、お茶の風味を損なわないよう、旬の食材を用いた適量の料理でもてなすのが本来の精神です。そのため、席に着くと最初に「ご飯・汁物・向付(刺身など)」が同時に運ばれてくるのが大きな特徴です。
一方で「会席料理」は、江戸時代以降に発展したお酒を楽しむための宴席料理です。前菜から始まり、お造り、焼き物、煮物と酒肴が順番に提供され、食事(ご飯と止め椀)は宴の最後に出されます。