青森という都市の歴史を紐解くならば、時計の針を第18代履中天皇の時代まで巻き戻さなければならない。社伝によれば、北国の開拓神として崇敬されたのがこの地の起こりとされる。坂上田村麻呂が東夷征討の際に社殿を再建したという記録も残り、津軽地方における軍事・政治・信仰の要所として極めて重い役割を担ってきた。
とりわけ興味深いのは、この神社が「青森市街地発祥の地」として公認されている点だ。津軽藩の藩祖・津軽為信が津軽統一を果たし、港町の整備を進めるにあたって祈願所と定めたのもここだった。当時の青森はわずかな漁村にすぎなかったが、神社を軸にしたまちづくりが進められたことで、本州と北海道を結ぶ巨大な物流拠点へと変貌を遂げていく。境内の一角に立つ「青森市発祥之地」の石碑は、ただの記念碑ではない。海とともに生き、風雪を乗り越えてきた北国の人々の原動力を静かに物語っている。