製品の防御性能がどれほど高くとも、皮膚表面で起きる物理現象を理解していなければ紫外線は容赦なく肌へ到達します。現場検証から導き出された、防御膜が崩壊する代表的な3つの原因を整理しました。
第1の要因は、「摩擦による皮膜の剥離(フリクション)」です。水から上がった直後、多くの人がバスタオルでゴシゴシと肌を拭ってしまいます。耐水性ポリマーで形成された均一なUVブロック膜は、繊維との強い摩擦によって容易に削り取られてしまいます。擦れに強い「フリクションプルーフ機能」を搭載した製剤であっても、物理的な摩擦力をゼロにすることは不可能です。
第2の要因は、「皮脂と混ざり合うことによる乳化」です。日焼け止めは油分と水分、そして紫外線散乱剤・吸収剤を乳化重合させた処方が一般的です。猛暑下で分泌された大量の皮脂が日焼け止めの油性成分と混ざり合うと、耐水被膜そのものが肌表面で再乳化を起こし、水に流されやすい状態へと変質してしまいます。
第3の要因は、多くのユーザーが惹かれる「日焼け止め石鹸で落ちる」処方のパラドックスです。日常の洗浄性を高めるために親水性界面活性剤のバランスを調整した製品は、普段使いには肌負担が少なく極めて優秀です。しかし、塩分濃度の高い海水や塩素を含むプール環境下では、耐水被膜の強度が専用クレンジング推奨タイプと比較して維持しにくい傾向があります。