近年の「お笑い賞レース」を語る上で欠かせないのが、審査基準そのものの構造変化だ。かつては松本人志を筆頭とする圧倒的なカリスマの鋭い感性が指標となり、その批評の一言が業界の基準線を作っていた。しかし、多様な価値観が交錯する現代において、審査員に求められているのは単なる「好み」の表明ではなく、視聴者を納得させる緻密な言語化力である。
不快感を与えずに笑いを生み出す配慮、伏線回収の見事さ、さらには会場の重い空気をどう打破したかというライブ感の評価。ただ面白いだけではなく、表現として現代社会にどう合致しているかという複雑な要素が加味されるようになった。時代を映す鏡としてのお笑い賞レースは、今や技術点と芸術点、社会性という三位一体の評価軸で語られるフェーズへと突入している。