現場の戦術力とチームビルディング能力を最重要視するファンの間で、圧倒的な支持を集めているのが「工藤公康の招聘」です。福岡ソフトバンクホークスを7年間で5度の日本一へ導いた実績は、21世紀のプロ野球界において頭一つ抜けた金字塔といえます。
近年のネット上の反応(5ちゃんねる、X、各種野球コミュニティ)を検証すると、戦術と勝敗にシビアなファン層ほど次のような声を挙げています。
「読売の生え抜き縛りさえ捨てれば、工藤公康さんこそ今一番巨人に必要な監督。近代的なデータ野球と選手のコンディショニング管理を徹底できる名将をなぜ呼ばないのか」「OBの義理立てや知名度優先で選んで勝てない時代は終わった。パ・リーグの強い野球を知る工藤氏を招聘して組織構造を根本から叩き直してほしい」
このような熱烈な待望論が存在しながらも、なぜ工藤氏の巨人監督就任は実現に至らないのか。そこには読売ジャイアンツが創設以来維持し続けている「監督は生え抜きのスター選手でなければならない」という強固な不文律(生え抜き条件)が存在します。
巨人の球団史において、戦後の水原茂監督以降、歴代の専任監督(川上哲治、長嶋茂雄、藤田元司、王貞治、堀内恒夫、原辰徳、高橋由伸、阿部慎之助)は、途中で他球団へ移籍したケースを含めても、全員が「ジャイアンツにドラフトまたは新人で入団した純血の生え抜き」です。工藤氏は現役時代に巨人に7年間在籍し、2度の日本一にエース格として貢献した功労者ですが、プロ野球人生の原点は西武ライオンズであり、球団の定義では「外様」に分類されます。球団オーナーをはじめとする本社上層部にとって、この伝統の壁を打ち破ることは、球団のブランドアイデンティティそのものを揺るがす重大な禁忌と見なされています。