彼を突如襲った「右低音障害型感音難聴」とは、内耳にある聴覚器官の不調によって低い音域が聞き取りにくくなる疾患だ。自覚症状としては、耳がつまったような強い閉塞感や低い音の耳鳴り、時にはめまいを伴う。過密なスケジュールの中でJ-POPシーンの激しい音響環境に身を置き続けたことが、心身に大きな負荷を与えていたことは疑いようもない。
医師からの診断を受け、本人は苦渋の決断として「活動休止」を選択した。音の世界で生きるミュージシャンにとって、聴覚の異変はパフォーマンスの根幹を揺るがす深刻な事態だ。特にバンドの土台を支えるドラマーとして妥協を許さない大倉忠義にとって、一度立ち止まる選択はプロ意識の表れであり、表現者としての未来を守るための切実な防衛策であった。