ひとくちにラベンダーと呼んでも、原種の系統によって耐暑性や発根習性は大きく異なります。日本の暖地・平野部で多く親しまれる2大系統の特徴を理解せずに同一の手法を適用することは、増殖の失敗を招く典型例です。
繊細で芳香が強いイングリッシュラベンダーの増やし方では、極度の多湿を避ける繊細な管理が求められます。コモン系とも呼ばれる本系統は冷涼な気候を好むため、梅雨入り直前の春挿しよりも、残暑が落ち着いた秋挿し(9月下旬〜10月中旬)のほうが発根後の夏越しリスクを回避でき、成功率が安定します。選ぶ穂木は、今年伸びた新梢の基部がわずかに硬くなり始めた「半木質化」の部位が最適です。
一方、ウサギの耳のような苞葉が愛らしいフレンチラベンダーの増やし方は、比較的旺盛な樹勢を活かしたアプローチが有効です。耐暑性に優れるストエカス系は、春(4月〜5月)の伸長期に勢いよく伸びた新梢を用いることで、驚くほどスピーディーに発根します。木質化が進みすぎた古い枝は極端に発根しにくいため、緑色が鮮やかな柔らかい枝先を採取するのが鉄則です。