生涯スポーツの基本理念は、1960年代のユネスコ(UNESCO)による国際会議で提唱された「生涯教育」の概念に源流を持ちます。文部科学省およびスポーツ庁の公式定義によると、生涯スポーツとは「子どもから高齢者に至るまで、いつでも、どこでも、だれでもが生涯にわたって、それぞれの体力や年齢、興味・目的に応じて自発的に行えるスポーツ活動全般」を指します。
最も大きな論点は、学校体育やプロリーグに代表される「競技スポーツ」との差異です。競技スポーツが「勝敗の決定」「記録の更新」「厳密なルールへの服従」を前提とするのに対し、生涯スポーツは「個人の健康維持」「精神的爽快感」「社会的コミュニケーション」を第一義とします。つまり、脱落者を生み出す構造から、誰もが包摂される構造へのパラダイムシフトです。
このように、生涯スポーツでは「上手にできるか」ではなく「身体を動かす快感を味わえているか」が唯一絶対の評価指標となります。この思想の切り替えが、運動に挫折してきた層を取り込む最大の契機となっています。