時代劇の概念を根底から覆したのが、必殺シリーズにおける「中村主水」の誕生だった。昼間は奉行所で同僚や舅・姑に腰が低い「昼行灯(ひるあんどん)」を装い、夜になれば闇の処刑人として冷徹に悪を裁く。この二面性を完璧に演じ分けたスタイルは、当時の視聴者に凄まじい衝撃を与えた。
松竹の撮影スタッフと共に作り上げられた映像美と、彼の陰影に富んだ表情変化は見事というほかない。刀を抜く瞬間の眼光の鋭さ、そして殺気を消して日常へ戻る刹那の背中。『必殺仕事人』は単なる娯楽作を超えて、日本のテレビドラマ史に燦然と輝く金字塔となった。