落合信彦氏といえば、冷戦下の危険な国際情勢や石油人脈、諜報機関の闇に挑み、日本における国際ジャーナリズムの概念を塗り替えた人物である。彼のアメリカ留学時代、カリフォルニアのペパーダイン大学で学んでいた時期の体験は、後の執筆活動の原点となったことで知られる。しかし、その過酷な渡米生活とそれに続く挑戦の陰に、若き日の落合和子氏の存在があったことはあまり知られていない。
和子氏は、渡米期から夫の野心と向かい合い、異国の地での苦労を共有した戦友でもあった。海外での長い生活経験から培われた広い視野と物おじしない気風は、常に命がけで取材に飛び込む夫にとって最大の理解者であり、唯一心を許せる安らぎの場であったという。過剰なまでの情熱を持つ夫をクールに支える大人の関係性が、二人の間には確立されていたのだ。