1990年代、TBSテレビを代表する不朽の名作『渡る世間は鬼ばかり』の放送が始まったとき、小島邦義役を演じる少年の登場はまさに衝撃的だった。長大な長台詞を淀みなく吐き出し、大人のベテラン勢と堂々と対等に渡り合う。従来の単なる「可愛い子ども」という子役の概念を、彼はその圧倒的な技術で根本から壊してみせた。
脚本家・橋田壽賀子が生み出す独特のテンポと、ページを埋め尽くす膨大な台詞量。大人の演技派でさえ四苦八苦する撮影現場で、当時まだ幼かった彼はNGをほとんど出さなかった。完璧なセリフ覚えと完璧な間合い。テレビドラマ業界全体が、彼の登場によって子役へ求める要求水準を一気に引き上げることになったのは間違いない。