ネット上や引用集などでは、この「最高傑作はまだ」「次の絵が最高傑作だ」という言葉の主として、画家パブロ・ピカソの名が挙げられるケースも散見されます。この真偽について結論を述べると、フレーズとしての直接的な発信源はチャップリンである可能性が極めて高いものの、ピカソもまた寸分違わぬ創作哲学を生涯貫いていました。
生涯で約15万点近くもの作品を残し、ギネス記録にも認定されているピカソは、作風を青の時代、バラ色の時代、キュビスムへとめまぐるしく変化させ続けました。ひとつの様式が美術界で評価され、高値で売れるようになっても、彼はその成功パターンをあっさりと捨て去り、まったく新しい表現へと舵を切っています。
周囲から「なぜ安定した成功を捨てるのか」と問われても、ピカソは常に「描き終えた瞬間から、その絵への興味は失われる。私が描きたいのは次の絵だ」という態度を崩しませんでした。二人の巨匠に共通していたのは、世間の賛辞に耳を傾けることではなく、自分自身の限界を更新し続けることへの異常なまでの執着でした。