時計の針を戻すと、日本中が固唾をのんで見守った大塚家具経営権争いは、2015年の株主総会で頂点に達した。創業者である父・大塚勝久氏が築き上げた「高価格・手厚い接客・会員制」という成功体験に対し、娘の久美子氏は「中価格帯・気軽に入れる店舗づくり」へのシフトを主張。経営理念の根本的な違いが対立を決定づけた。
この争いは単なる家族喧嘩の域を超え、大手機関投資家や個人株主を巻き込んだ熾烈なプロキシファイト(委任状争奪戦)へと発展。勝久氏側と久美子氏側が互いに株主へアピール合戦を繰り広げた末、総会での決議により久美子氏側が勝利を収めた。だが、この勝利こそが、その後の長い苦難の始まりでもあった。顧客層の流出とブランドイメージの毀損は、想像以上に深刻だったのだ。