生命の起源が海にあることを考えれば、このつながりは極めて自然なことかもしれない。サンゴが一斉に産卵する夜、ウミガメが砂浜に上がる瞬間。これらはすべて、月がもたらす潮の満ち引きと完璧に同期している。私たちのDNAの奥深くには、30億年以上前に海で誕生した祖先たちが獲得した「潮汐時計」の遺伝子が、今もなお眠っているのだ。
近年の遺伝子解析により、人間にもこの「潮汐リズム」を司る時計遺伝子が存在する可能性が浮上している。24時間周期のサーカディアンリズム(概日リズム)とは別に、約12.4時間周期のサーカタイドリズム(概潮汐リズム)が、私たちの細胞分裂やホルモン分泌をコントロールしているという。生が始まり、そして終わる瞬間。それは、眠っていた太古の記憶が呼び覚まされる瞬間なのかもしれない。