ピエール・エルメの代名詞として世界中で愛される傑作「イスパハン」。この美しく高貴なピンク色の作品は、彼がブルガリア産のローズペタルの繊細な風味に出会ったことから始まった。バラの華やかな香りに、ライチの瑞々しい甘み、そしてフランボワーズのエレガントな酸味を重ね合わせるアイデアは、当時の洋菓子界においてきわめて革新的であった。
「花を食べる」という感覚を普遍的な美味へと昇華させたこのトリオは、看板アイテムであるマカロンをはじめ、タルトやミルフィユ、さらにはクロワッサンにまで応用されている。視覚、嗅覚、味覚が完璧なバランスで調和するイスパハンは、創作から数十年が経過した現在もなお、色褪せることのない輝きを放ち続けている。