かつて『NHKスペシャル ママたちが非常事態』でも大きな反響を呼んだように、脳内で分泌される神経伝達物質「オキシトシン」のメカニズム解明が進んでいる。一般には母子の絆を深める「愛情ホルモン」として知られるが、神経科学においては全く別の冷酷な側面を持つことが判明している。
オキシトシンは仲間への愛着を強烈に高める一方で、境界線の外にいる者や脅威とみなした対象に対して排他的・攻撃的な衝動を劇的にブーストさせる。母親の脳内では「赤ん坊=絶対守るべき自分の一部」「それ以外の人間=無防備な赤子に危害を及ぼしかねない不確定要素」という峻別が本能的に行われている。つまり、他者への猛烈な攻撃性とは、母性愛が極限まで増幅されたコインの裏返しなのだ。