「この道をゆけばどうなるものか。危ぶむなかれ、危ぶめば道はなし……」引退試合のリングで朗読された一休宗純の詩とされるこの言葉は、猪木の手によって永遠の生命を与えられた。就職、起業、あるいは挫折からの再出発。人生の選択肢に迷い、足がすくむ瞬間に、このフレーズを口ずさむ人は少なくない。
踏み出せば、それが道となる。言うのは簡単だが、道なき場所に最初の一足を突っ込む苦痛と恐怖は、常人には耐え難い。彼はプロレス業界という枠組みに収まることなく、政治、外交、ビジネスと、常に賛否両論の荒波へと自ら飛び込んでいった。迷いを振り払うのではなく、迷いを抱えたまま踏み出すことの美学。このフレーズが持つ重みは、彼自身の無謀とも思える挑戦の歴史によって裏打ちされている。