この技のルーツを紐解く上で避けて通れないのが、日本史上最も高名な武蔵野の決闘、すなわち巌流島の戦いである。歴史の闇に埋もれた剣豪・佐々木小次郎が編み出したとされる「燕返し」は、一瞬のうちに空を舞う燕を切り落としたという逸話で知られる。しかし、作中で描かれる技はその先にある。
真剣勝負の場で宮本武蔵と対峙した小次郎が、死線の淵で開眼した幻の極意——それこそが作中で再解釈された真の姿だ。単なる三段突きや超高速の翻しではなく、敵の呼吸と空間の歪みそのものを裁断する絶技として描写される。史実とフィクションが見事に交錯するスリリングな世界観は、歴史ファンをも唸らせる完成度に達している。