平山夢明のノワール小説『ダイナー』の実写映画化にあたり、最大の難関とされていたのがヒロインであるオオバカナコのキャスティングでした。殺し屋しか訪れない極限状態の食堂で、理不尽な暴力に晒されながらも次第に自らの居場所を見出していく難役です。
メガホンを取った蜷川実花監督は、かねてより自身の写真作品のモデルとしても信頼を寄せていた玉城ティナを指名しました。蜷川監督が決め手として語ったのは、彼女が持つ「圧倒的な少女の儚さと、どこか世間から遊離したような孤独な佇まい」です。
人生に絶望し、日給30万円の闇バイトに手を出してダイナーへ売り飛ばされるカナコ。その空虚な瞳から、狂気の世界で徐々に生命力を取り戻していくグラデーションを表現できるのは彼女しかいないという確信が、異例の大抜擢へと繋がりました。