「陽炎」「蜃気楼」「逃げ水」は、いずれも大気による光の屈折が原因だが、その発生条件と見え方には明確な差異が存在する。混同されがちな各現象の違いを押さえておくことは、大気現象を深く理解する第一歩となる。
蜃気楼は、比較的広範囲にわたって大気が安定した層状の温度変化を起こした際に生じる。遠方の景色が伸びたり反転したりして、実物とは離れた場所に像を結ぶのが特徴だ。一方で逃げ水は、陽炎と同じく地表の熱によって生じるが、空の青さや遠くの風景が地面に映り込み、まるで水たまりがあるように見える特定視角の屈折を指す。激しく揺らめく「動き」そのものが本質である陽炎とは、視覚的な印象が大きく異なる。