本作のノスタルジックな浮遊感は、緻密に計算されたコード進行とアコースティックギターのアルペジオによって支えられています。
キーは原曲でEメジャー(カポタストを2フレットに装着してDメジャーフォームで演奏されることが多い)。特徴的なのは、開放弦の響きを活かした「add9(アドナインス)」や「M7(メジャーセブン)」のテンションコードが随所に散りばめられている点です。これにより、単なる明るいポップスにはならず、夏の終わりの夕暮れを思わせる陰影が楽曲全体に宿ります。
また、サビに向かって徐々に熱量を帯びていくベースラインと、島田昌典によるストリングスアレンジが、主人公の抑えきれない感情の昂ぶりを見事にトレースしています。アコギ弾き語りの初心者から中級者にとっても、コードの押さえ方やストロークのニュアンスを学ぶ上で格好の教材となっています。