「新世界の串カツから『二度づけ禁止』が消えた」――SNSや一部のネット掲示板で拡散されたこの言説は、半分正しく、半分は誤解を含んでいます。
事の発端は、数年前の衛生意識の高まりに伴い、テーブルに常設されていた「共有ソースバット(ステンレス缶)」を撤去する動きが一気に広がったことでした。大手チェーンであるだるまをはじめとする多くの店舗が、ディスペンサーからかける「ボトル式」や、個別皿に小分けして提供するスタイルへと舵を切りました。「かけるスタイルなら、物理的に二度づけ禁止というルール自体が存在し得ない」という現場の運用の変化が、噂の温床となったのです。
では、2026年現在の新世界はどうなっているのか。現地を歩くと、明確な「2つの流儀への棲み分け」が完了していることが分かります。
大手チェーンや大型ファミレス型店舗では、外国人旅行者の安心感やオペレーション効率を最優先し、現在も「個別ソースディスペンサー」の採用を継続しています。一方、八重勝や「串かつ てんぐ」などの老舗、そして個人経営店では、顧客の熱烈な要望に応え、共有ソースバットによる伝統の「どぼ漬けスタイル」を厳格な管理のもとで維持しています。もちろん、そこには「口をつけた串を再びソースに入れるな」「キャベツを手でつまんでソースをすくうべし」という鉄の掟が息づいています。旅情と下町情緒をソースの深みとともに味わいたいなら、入店前に卓上を確認することが欠かせません。