現場となった東京都世田谷区若林は、東急世田谷線が走り、古くからの邸宅と新しい住宅が混在する落ち着いた地域だ。しかし、事件当夜の現場一帯は異様な緊張感に包まれた。足痕や微物鑑定の結果から、犯人は地域の地理に極めて明るい人物か、事前の周到な下調べを行っていた公算が大きい。
管轄する警視庁世田谷警察署には発生直後から膨大な情報が寄せられたが、決定的な証拠の特定には至らなかった。遺留品の入手ルートが多岐にわたること、そして現場から逃走したルートに複数の死角が存在していたことが、捜査を長引かせる最大の要因となった。