日曜夜の空気感を根底から塗り替えたのが、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』だ。主役を演じ切った小栗旬は、北条義時という人物の若き日の純粋さから、やがて権力の蜜に酔い、修羅の道を歩んでいくまでの惨烈な変貌を見事に体現してみせた。従来の時代劇が持っていたステレオタイプを鮮やかに裏切るテンポ感は、若い世代から往年のファンまでを一網打尽にした。
権力闘争の容赦ない冷酷さと、その陰に潜む人間の愚かしさや愛おしさ。重厚なヒューマンドラマとしての骨太な骨格を保ちつつ、予想だにしない展開で毎週視聴者を翻弄し続けた。義時が冷徹な権力者へと変貌を遂げていく姿は、観る者に強い哀愁と恐怖を刻み込み、名実ともに日本を代表する俳優としての存在感を強烈に印象付けた。