スマートフォンやAIに囲まれて育ったZ世代にとって、昭和の家屋は「古臭い過去の遺物」ではなく、新鮮なインスピレーションの宝庫だ。プリント化粧板ではない本物の木の質感、職人が一枚ずつ仕上げた欄間(らんま)の彫刻、どこか歪みのある手吹き風ガラス。均一に工業化された現代の住宅では絶対に再現できない不均一さと味わいに、若い世代は強烈な魅力を感じている。
SNSでは「#昭和リノベ」「#古民家ライフ」といったハッシュタグをつけた動画や写真が日々拡散され、何世代も受け継がれてきた住まいに自分たちの手で新たな命を吹き込むプロセスそのものが、一つのライフスタイル・コンテンツとして消費されている。デジタル空間のフラットさに対する反動が、物理的な手触りを持つ住まいへの情熱へと昇華しているのだ。