毒親という言葉が広く普及するきっかけとなったのは、アメリカの心理療法家スーザン・フォワードが提唱した概念だ。彼女は著書の中で、子どもの自立を阻害し、精神的に毒を注入するかのように支配する親のパターンを詳細に分析した。日本国内においても、精神科医の斎藤学らが早くから家族病理の研究を重ね、歪んだ家族関係が及ぼす心理的影響について警鐘を鳴らし続けてきた。
臨床心理学・精神医学の知見によれば、表面化しにくい毒親の共通点として「過剰な境界線の侵入」が挙げられる。子どものプライバシーを平気で侵害し、進路や人間関係、さらには好みの服に至るまで「あなたのためを思って」と誘導する。日本心理学会などの研究発表でも示されているように、親自身が自らの不安を解消するために子どもを所有物化するケースが少なくない。彼らは怒りを直接ぶつけるだけでなく、「あなたがそんな態度をとるとお母さんは悲しい」といった罪悪感を煽る手法で子どもをコントロールするのだ。