全13話で構成されたファイナルシーズン(シーズン7)の結末は、長年見守り続けたファンに対する誠実な解答に満ち溢れていました。最終話「彼らの歩み(原題:Their Last Bow)」では、原作の短編『最後の挨拶』を巧みにオマージュした緊迫のドラマが展開します。
巨悪であるテック界の億万長者オーディン・ライヘンバッハを法廷で断罪するため、シャーロックは自ら罪を被って橋から水中に飛び降り、死を偽装して姿を消します。そこから物語は「3年後の未来」へと一気にジャンプします。
3年後のニューヨークで、ジョーンは探偵業を継続しながら養子の男児アーサーを迎え、母親となっていました。死んだと思われていたシャーロックは、ジョーンが重い病を患っているという極秘情報を耳にし、偽装死を破って彼女のもとへ帰還します。ジョーンの診断名は、悪性度の高い「トリプルネガティブ乳がん」でした。
国家反逆の容疑を恐れて逃亡を続けるべき立場にありながら、シャーロックは即座にニューヨークに留まることを選択します。彼が発した「君には私の助けが必要だ。何があっても君のそばにいる」という言葉は、愛の告白よりも重く、神聖な誓いとして響きます。
さらに物語は1年後へと進みます。ジョーンの化学療法は成功し、がんは見事に寛解。身の潔白が証明されたシャーロックは、再びジョーンと共にニューヨーク市警の顧問探偵として復帰します。ラストシーン、二人は警察署の廊下を並んで歩き、扉を開けて新たな事件の現場へと足を踏み入れます。二人が手を取り合うことも、抱き合うこともありません。ただ互いに視線を交わし、同じ歩幅で前へ進む。その静謐な背中こそが、7年間にわたる旅路の完璧な終着点でした。