インターネットの検索窓や繁華街の免税案内板で頻繁に見かける「唐吉訶德」。これはスペインの文豪セルバンテスの名作小説『ドン・キホーテ(Don Quijote)』の標準的な中国語音訳表記です。日本国内の運営元であるパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)も、中華圏向けの公式名称としてこの表記を採用しています。
しかし、単なる「呼び名の違い」にとどまらないのが、国内外における業態ポジショニングの差異です。日本国内のドン・キホーテが「日用品・食品から家電まで何でも揃う激安ジャングル」という泥臭く刺激的なディスカウントストアであるのに対し、海外で展開される「DON DON DONKI(唐吉訶德)」は、ほぼ100%日本産・日本企画のアイテムを揃えたプレミアムな日本食&カルチャー特化型ストアとして設計されています。
現地の売場に足を踏み入れると、日本の店舗特有の雑多感は適度に残しつつも、通路幅はベビーカーが通れるほど確保され、内装も清潔感にあふれた近代的な商業施設スタイルに整えられています。かつて創業者・安田隆二氏が自著で語った「小売業の常識を疑い、顧客の快楽を最大化する」という哲学は、海外市場においては「日本へ旅したかのような疑似体験の提供」へと見事に昇華されています。