「たかがコピー1枚で何ができるのか」という油断こそが、犯罪グループの格好の標的となります。保険証には、氏名、生年月日、性別、現住所、勤務先名称(扶養関係)、さらには被保険者等記号・番号といった、極めて密度の高い個人情報が凝縮されています。
実際に警視庁や各都道府県警察が公表するサイバー犯罪・特殊詐欺の検挙事例では、流出した身分証コピーが悪用された手口が次々と明らかになっています。
- 消費者金融やオンラインカジノでの不正借入:顔写真不要で審査が完了する悪質な小規模貸金業者や海外サービスを舞台に、勝手に名義を使われて多額の債務を背負わされる。
- 格安SIM・スマートフォンの不正契約:本人確認の甘いオンライン窓口を突破して通信回線を契約され、その電話番号が特殊詐欺や「闇バイト」の連絡手段として転用される。
- 裏サイトやSNS上での名義売買:身元確認をすり抜けるための「有効な身分証素材」として、1枚あたり数千円〜数万円単位で反社会的勢力の間を転売される。
一度流出した紙のコピーや画像データを取り戻すことは事実上不可能です。身に覚えのない督促状が届いて初めて被害に気づき、警察への被害届提出や信用情報機関(JICCやCIC)への本人申告コメント登録に追われるなど、被害者の生活は長期間にわたって激しい精神的苦痛に晒されることになります。