九州の遊園地史を語る上で避けて通れないのが、平成から令和にかけて相次いだ巨大パークの終焉です。なぜ、あれほど愛されたランドマークが消え去らなければならなかったのか。当時の決算資料や地元経済界の取材記録から、その深層を紐解きます。
北九州市八幡東区のシンボルだった「スペースワールド」(2017年末閉園)について、ネット上では一時的なイベントの炎上騒動が引き金だったかのように語られるケースが散見されます。しかし、スペースワールド閉園の真相と経緯を綿密に追うと、本質は全く別のところにありました。最大の要因は、新日鐵住金(現・日本製鉄)との土地賃貸借契約の満了と、莫大な借地料負担にありました。
宇宙をテーマにした巨大構造物や「タイタン」「ザターン」といった世界屈指のコースター群は、潮風を受ける北九州の工業地帯において桁外れの防錆・維持補修費を要求し続けました。年間来園者数が全盛期の200万人規模から100万人強へと低迷するなか、契約更新に伴う固定資産再評価や投資回収のシミュレーションにおいて、事業継続の合理性が失われたというのが経営の冷徹な事実です。なお、跡地は2022年にイオンモール系の大型商業施設「THE OUTLETS KITAKYUSHU」および科学館「スペースLABO」へと姿を変え、新旧の都市機能が見事に再生しています。
一方、福岡市東区で65年以上にわたり親しまれた「かしいかえん シルバニアガーデン」(2021年末閉園)の幕引きは、鉄道系レジャー事業の構造改革を如実に物語っています。かしいかえん跡地の現在と閉園理由を検証すると、運営母体である西日本鉄道が直面したコロナ禍による鉄道・バス事業の打撃と、施設の老朽化に伴う数億円規模の更新費用が重層的な要因でした。ピーク時に比べ少子化が進み、都心部に近い立地でありながら平日の集客が激減していました。閉園後、跡地の一部は緑地空間として暫定利用されつつ、福岡屈指のベッドタウンとして住環境や商業ゾーンを調和させた再開発計画が進められています。