映画『20世紀少年』を語る上で最大の論点となるのが、世界を破滅へと導いた首謀者「ともだち」の正体です。原作者・浦沢直樹自らが脚本制作に深く関与した本作では、原作コミックの読者をも欺く映画独自の真相が用意されました。
原作漫画では、第1部から第2部中盤まで君臨した初代「ともだち」は服部哲也(フクベエ)であり、理科室での転落死後に登場した2代目「ともだち」がカツマタ君(勝俣忠信)という「入れ替わり構造」が採用されていました。しかし、2時間半×3本という映画の枠組みの中でこの複雑な多重トリックを描き切ることは難解を極めます。
そこで映画版では、首謀者の正体を最初から最後まで一貫して「カツマタ君」に一本化するという大胆な改変を行いました。理科室の事件で死亡したフクベエはカツマタの計画における単なる身代わりに過ぎず、幼少期に理科室のフナの解剖実験を台無しにした濡れ衣を着せられ、存在を消されたカツマタの復讐劇として物語を再設計したのです。
この変更により、物語の因果関係が「ケンヂの幼少期の些細な万引きと無責任な放置」という原罪にストレートに収束し、エンタテインメント映画としての分かりやすさと劇的なカタルシスを生み出すことに成功しました。