一軍のドーム観戦とは一線を画し、なぜこれほどまでに多くの野球ファンが福岡県南部の筑後市へと足を運ぶのでしょうか。関係者への取材やスタンドの常連ファンの声を総合すると、タマスタ筑後が持つ熱量の源泉は、明確に差別化された3つの体験価値に集約されます。
第1の魅力は、圧倒的な選手との物理的・心理的距離の近さです。バックネット裏や内野最前列のシートに腰を下ろすと、投手が投球時に漏らす鋭い呼気、捕手のミットが響かせる乾いた捕球音、走者が滑り込む際の砂煙までが生々しく五感に届きます。テレビ中継の画面越しでは決して味わえない「プロのアスリートが放つ初速と質量」を全身で浴びる体験は、一度味わうと病みつきになる中毒性を秘めています。
第2の魅力は、「成長のプロセスを共有する」という育成型ボールパークならではの感情移入体験です。ホークスは球界に先駆けて4軍制を敷き、育成ドラフト出身選手を多数一軍の主力へ押し上げてきました。タマスタ筑後で行われるウエスタン・リーグ公式戦や非公式交流戦は、選手たちにとって明日の一軍登録をかけた修羅場そのものです。凡打に倒れて悔しさを露わにする表情や、炎天下の居残り特打でバットを振り続ける横顔を定点観測してきたファンにとって、その選手が一軍の晴れ舞台で初安打や初勝利を挙げた瞬間の喜びは、言葉にできない感動をもたらします。
第3の魅力は、地方創生と融合した開放的なボールパークの居心地の良さです。広大な「筑後広域公園」に隣接し、視界を遮る高層ビルが存在しない青空の下、天然芝の香りと心地よい筑後平野の風を感じながら観戦を楽しめます。メガボールパークのような混雑によるストレスが少なく、家族連れやのんびり野球を楽しみたいシニア層までが心地よく過ごせる環境設計が支持を集めています。