街中を走る乗用車の多くがハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)となった現在、救援作業において最も見落とされがちな罠があります。それがハイブリッド車での救援注意点です。
結論から申し上げますと、ハイブリッド車はバッテリーが上がった他車を救う「救援車」には絶対に使えません。これは各自動車メーカー(トヨタ、ホンダ、日産など)の取扱説明書にも明記されている厳格な警告事項です。
ハイブリッド車には走行用の高電圧駆動用バッテリーのほかに、ハイブリッドシステムを起動するための12V「補機用バッテリー」が搭載されています。この補機用バッテリーは、エンジン始動用の巨大なセルモーターを回す設計になっていません。ガソリン車を救援しようと大電流を流した瞬間、高電圧と低電圧を変換しているデリケートなDC-DCコンバーターやインバーターに過大電流が逆流し、高額な駆動系ハイブリッドシステムが修復不能なダメージを受けるリスクがあるからです。
一方で、ハイブリッド車自身の補機バッテリーが上がった際に、他車から救援してもらうことは可能です。ハイブリッド車のエンジンルーム内には、専用のジャンプスタート端子(ヒューズボックス内にある赤色の端子)が設けられていることが多く、ここに正しい手順で電気を供給すればシステムを再起動できます。
また、救援車と故障車のボルト電圧適合も命綱となります。一般的な乗用車や軽自動車は「12V」ですが、大型トラックや一部の四輪駆動車、特殊車両はバッテリーを2個直列に繋いだ「24V」仕様です。12Vの乗用車を24Vのトラックで救援することは絶対にできません。電圧が合致しない車同士で繋ぐと、過電圧によって一瞬で電装品が破裂・全損し、火災の原因となります。