栗花落カナヲの原点は、言葉を失うほどの深いトラウマと絶望の中にある。貧困と親からの虐待という極限状態のなかで、彼女が生き残るために選んだ手段は「何も感じないこと」だった。心を殺し、感情を無にすることで、痛みに耐え続けた幼少期。売られていく途中で胡蝶カナエ・しのぶ姉妹に引き取られた際も、彼女は自分で判断を下すことができず、ただ指示を待つだけの存在だった。
人間は極度の恐怖や苦痛に直面すると、自らの感情を麻痺させて心を守ろうとする。カナヲの初期の姿は、そうした心理的防衛反応の極致であり、視聴者や読者に痛烈な現実を突きつけたのだった。