運ばれてきたお櫃の蓋を開けると、ぎっしりと敷き詰められた鰻の照りが目に飛び込む。しゃもじでお櫃の中を十文字に四等分するのが、伝統のお作法だ。
一膳目は、そのまま茶碗によそい、鰻とタレの純粋な旨味をストレートに味わう。二膳目は、刻みネギ、刻み海苔、ワサビの薬味を添えて。薬味の清涼感が鰻の脂を引き締め、まったく異なる表情を引き出す。三膳目は、出汁をたっぷりとかけて鰻茶漬けに。熱い出汁によって鰻の香ばしさが立ち上り、サラサラと喉を通る贅沢は筆舌に尽くしがたい。そして最後の四膳目は、三つの食べ方の中で最も心揺さぶられた好みのスタイルで締めくくる。一杯ごとにドラマが展開する完成された食体験がここにある。