過熱するアングラ出版市場に対し、警察当局も黙認を続けることはありませんでした。1980年代前半から中盤にかけて、警察庁は全国規模での裏本壊滅作戦を展開します。
摘発の手術台に上がったのは、販売者だけではありません。警察は資金源を断つため、印刷所、製本所、流通を牛耳る元締め組織を徹底的に捜索しました。日本全国で数万冊規模の裏本が押収され、関与した印刷業者やブローカーが刑法175条(わいせつ物頒布等の罪)違反で次々と逮捕されたのが、大規模な摘発の経緯です。
さらに、自治体による青少年保護育成条例の改正が進み、無人自販機の設置基準が極めて厳格化されました。自販機自体の撤去や監視カメラの導入が進んだことで、裏本が物理的に販売できる場所は急速に奪われていきました。リスクの増大と流通網の遮断という2つの要因が、裏本ビジネスの息の根を止める決定打となったのです。