今でこそ連日大盛況を見せる店だが、数年前には後継者不足と原材料費の高騰により、閉店の二文字が現実味を帯びていた時期があった。
転機となったのは、店主の孫にあたる若者が経営に参画したことだ。しかし、彼が行ったのは安易なメニューの改変や内装のリノベーションではない。むしろ徹底したのは「原点保持」だった。昭和から続くレシピを忠実に受け継ぎ、SNSでの発信も誇張を排した「日常の調理風景」のライブ配信に絞った。過剰な映えを狙うのではなく、誠実な日常をそのまま切り取った映像が世界中の人々の心に刺さったのだ。
変えないための変化。それこそが、存続の危機を劇的なV字回復へと変えた最大の原動力だった。