中原中也『サーカス』の「ゆあーんゆよーん」とは?哀愁の真意と解釈

中原中也『サーカス』の「ゆあーんゆよーん」とは?哀愁の真意と解釈

中原中也『サーカス』の「ゆあーんゆよーん」とは?哀愁の真意と解釈の背景について、分かりやすい解説を基に徹底解説します。

『サーカス』は、中原中也が20代前半の多感な時期に執筆し、1929年(昭和4年)の雑誌『生活者』に発表された詩です。その後、1934年に刊行された中也の生前唯一の自選詩集『山羊の歌』の冒頭近く「初期詩篇」に収録され、彼の詩人としての評価を決定づける代表作となりました。

大正から昭和初期にかけて巡回興行を行っていたサーカスは、地方都市に突如現れては消える、華やかさと怪しさが同居する異空間でした。中也は山口県吉敷郡(現・山口市)で過ごした幼少期から、弟の病死や家族との軋轢、ダダイズムへの傾倒、そして女優・長谷川泰子との破局など、若くして深い喪失と放浪の痛みを経験しています。

仮設テントの暗がりに灯るガス灯、歓声を上げる観客、そして高い梁からぶら下がる空中ブランコ乗り。中也が見つめたサーカスは、単なる娯楽の見世物ではなく、自らの居場所を見出せない放浪者の心象風景そのものでした。

中川 明日香
著者

中川 明日香

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。