ホンダN-VANがこれほどまでに車中泊仕様やプロの仕事用として圧倒的人気を集める最大の理由は、競合するFRレイアウトのキャブオーバー型軽バン(スズキ・エブリイやダイハツ・ハイゼットカーゴ)とは根本的に異なるFF(前輪駆動)パッケージングとセンタータンクレイアウトの採用にあります。
燃料タンクを前席床下に配置する特許技術により、荷室フロアの地上高はわずか525mmという超低床を実現しました。さらに助手席側のBピラー(中央の柱)をドア内部に内蔵した「ドアインピラー構造」によって、助手席側スライドドアとフロントドアを同時に開け放つと、幅1,580mm×高さ1,230mmという巨大なパノラマオープニングが出現します。従来の軽バンではテールゲートからしか出し入れできなかった長尺物や大型ギアが、サイドからストレスなくダイレクトに積み下ろしできる設計です。
荷室寸法は、助手席を床下にダイブダウン収納させた状態で最大荷室長2,635mm(助手席足元からテールゲートまで)に達し、一般的な軽自動車の枠組みを完全に超越しています。荷室幅は1,390mm、荷室高はハイルーフ仕様で1,365mmを確保しており、大人が車内で中腰にならず座ったまま着替えや調理、デスクワークをこなせる室内高を誇ります。
従来の軽バンでは「後席を倒しても微妙な段差や傾斜が残り、車中泊で快適に寝るには厚手のマットやイレクターパイプによるかさ上げ工作が必須」とされていました。これに対し、N-VANは助手席から荷室後端まで段差のない平坦なフロアを標準状態で生み出せます。この唯一無二のギミックが、DIY初心者からエキスパートに至るまで「究極の車中泊ベース車」として選ばれる決定的な理由となっています。