嵐のコンサートを語るうえで外せないのが、演出を一手に担ってきた松本潤による空間支配のイノベーションです。なかでも京セラドームの座席表と嵐のステージ構成は、野球場特有の「死角」を排除するための創意工夫に満ちていました。
ドーム演出の歴史を塗り替えた「ムービングステージ(可動式透明ステージ)」は、松本の発案によって誕生したものです。アリーナの頭上を巨大なアクリルステージが通過することで、通常は「遠い」とされるスタンド後方席や外野席の観客に対しても、至近距離でメンバーの肉声を届ける仕組みを確立しました。京セラドーム大阪はすり鉢状のスタンド傾斜が比較的急であるため、上段席(ビスタ席や5階席)からはメインステージが小さく見えがちですが、嵐の公演では外周花道、中央センターステージ、バックステージを結ぶ網の目のような導線と、天井近くまで吊り上げられる気球やクレーン演出によって、どの席番であっても疎外感を与えない構造が採られてきました。
京セラドームにおける嵐のアリーナ構成は、ツアーごとにアルファベットブロックの配置が激変することでも知られています。一般的なメインステージ側からA・B・Cと並ぶブロック配置だけでなく、センターステージを中心とした円形放射状の配置や、バックステージ側を重視した特殊ブロックなど、直前のゲネプロまで厳密な機密扱いとされてきました。もし再始動公演が実現すれば、最新のLED映像技術やドローン群制御を取り入れた、かつてないスケールのアリーナ空間が構築されることは想像に難くありません。