事件が発生したのは、2004年(平成16年)10月5日午後3時頃のことでした。広島県廿日市市上平良の民家で、廿日市高校2年生だった北口聡美さんは、中間テストを終えて帰宅し、自宅離れの自室でテスト勉強をしていました。母屋には祖母と当時小学生だった妹が在宅していました。
突如として離れから悲鳴が響き渡り、異変に気付いた祖母が急行したところ、そこには見知らぬ若い男が立っており、聡美さんはすでに十数カ所に及ぶ刺傷を負わされて倒れていました。祖母が止めに入ると、男は刃物で祖母の腹や背中を執拗に刺して重傷を負わせ、悲鳴を聞いて駆け寄った妹と鉢合わせになりながらも、勝手口から屋外へ逃走しました。妹の機転を利かせた近隣への助けと119番通報により祖母は一命を取り留めたものの、聡美さんは搬送先の病院で出血性ショックにより息を引き取りました。
現場となった離れの階段や玄関付近には、犯人のものとみられる「指紋」「血液(DNA型)」「スニーカーの足跡」が明瞭に残されていました。さらに、逃走を目撃した近隣住民の証言から「20歳前後の若い男」「原付バイク(スクーター)での逃走」といった有力な手がかりが得られ、早期解決が期待されていました。しかし、犯人の遺留データは警察庁の既存犯罪データベースに該当者がなく、捜査は出口の見えない膠着状態へと陥っていったのです。