「砂糖(さとう)」や「浮気(うきき/ふけ)」など、一見すると冗談のような、しかし実在する二文字苗字が存在する。これらは全国で数世帯しか確認されておらず、絶滅の危機に瀕している。明治政府が国民全員に苗字を義務付けた際、役所の担当者の書き間違いや、その場の思いつきで登録されたケースが少なくない。
こうした珍名・奇名は、単なる珍しさだけでなく、当時の役人の教養レベルや地域のコミュニティの雰囲気を伝える貴重な史料でもある。家系の途絶や改姓によってこれらが失われることは、日本の口承文学やローカルヒストリーの一片が永遠に消え去ることを意味する。保護すべき文化財として、これらの苗字をデータベース化する動きも始まっている。