インフルエンザの熱が下がったのにだるい、あるいは頭がぼーっとして猛烈に眠いという現象は、決して本人の気の緩みや怠けではありません。医学的な観点から見ると、インフルエンザの倦怠感が治らない理由には主に3つの明確な要因が存在します。
第一の要因は、免疫システムがウイルスを撃退する際に放出した「炎症性サイトカイン」の影響です。この物質はウイルスを排除するために不可欠な働きをしますが、同時に脳の中枢神経系に作用して疲労感や強い眠気を引き起こす性質を持っています。ウイルスの活動が止まっても、血中に残ったサイトカインが代謝されるまでには数日間のタイムラグが発生します。
第二に、発熱によって膨大なエネルギーを消費したことによる身体の飢餓・脱水状態です。38〜40度の高熱を維持するため、筋肉内のグリコーゲンやタンパク質は激しく分解され、代謝機能が大きく低下しています。さらに発汗によるミネラルバランスの乱れも重なり、細胞レベルでエネルギーが枯渇している状態です。
そして第三が、激しい生体防御反応に伴う自律神経の急激な乱れです。交感神経が極度に緊張した状態から副交感神経優位へと切り替わるプロセスで、血圧の低下や内臓機能の一時的な低下が起き、これが特有の「重だるさ」となって体に現れます。